[情報室]「今から録音していいですか?」どう答える?

患者さまへの検査結果報告、治療の説明などをするときに、最近は、スマホで簡単に録音できる機能が付属しているためか、「今から録音していいですか?」と、質問を受けるケースが多くなってきている。
この、録音のあれこれについての体験談を聞いてみた。

むしろ録音した音声を何度も聞き返してほしいくらい
録音は全く問題なしです。むしろ録音をしておいて、何度も聞き返して、理解を深めて頂きたいくらいです。

 医療に限らず、録音の是非を問うのが疑問でならない。発言した内容の公開に対し、発言した本人の許可が必要であるならば、自分の発言に対して、都合が悪ければ隠していいことになる。それはつまり、発言内容に対する責任を取っていないことになる。

 不正な発言に対する録音ができないことになり、公正な善悪の判断ができなくなる可能性が高くなる。不正な発言をした者の力関係が強大な場合は、尚更不正の温床になると思う(例:警官対一般人、先生対生徒、大企業対一般人顧客など、医師対患者も場合によってはこれに含まれるかもしれませんが……)。

 面談時に、勝手に録音されていて、面談後に録音を申告されたことがあったが、別に録音したことを隠さなくてもいいのではないかと思ったと同時に、申告しなければならないことでもないのではないかとも思った【消化器外科】

「録音されて何かまずいことでもあるんですか?」に、こう返答

「どうぞ構いませんよ。差し支えなければ、録音の目的を聞かせていただいても良いですか?」と聞きます。基本的には録音されても構わないことを話すようにはしているけど、だからといって自分勝手な行動をしてよいというわけではない、という多少の牽制をします。

 理由としてよく聞かれるのは、「覚えきれないから」、「他の親戚にも話した内容を伝えたいから」というものなので、それを目的とするなら伝わるような話し方(画像を用いながら話をするより音声だけで情報が伝えきれるようにする)にしますので、と回答します。

 病棟回診時にレコーダーを枕元に隠している状態で重箱の隅をつつくような質問をしてきた。レコーダーを発見してそのことを指摘すると、「録音されていたら何かまずいことでもあるんですか」と開き直りながら言われた。

 「録音されることは問題ないが、隠し録りされていることが不愉快ですね。どうぞ、机の上におきながらやりましょうか」と言い返したら、「いや、別に、結構です」と引き下がった【脳神経外科】

録音は歓迎、むしろちゃんと聴いてほしい
 歓迎します。拳拳服膺するつもりで、家族で聞き返して理解してほしいです。

 発達障害などの外来をしていると、母親に説明し、次に同じことを質問されてまた説明し、やっと理解したら次は父親を連れて来て同じ説明をさせられ、次に関係者が来て……と○○の壁を感じつつ何度も長時間を費やされることが多いです。録音しても同様のことが多く、「ちゃんと聴け!」と思います。宿題にしたいくらいです【小児精神科】

結果的に患者にとっても不利益になるのに
 録音されて困る内容は発言しないから、「構わない」と答える。

 言質を取られるような表現は避け、切り取られても大丈夫なように必要最低限で確定的な事実のみを話すようにした。経験上の私見に基づくアドバイスはしなかったので、結果として患者さんが得られる情報量が減ることになったが、やむを得ないと思う【眼科】

何度か録音されたが悪用されたケースはない
 「良いですが、本日同席されていないご家族や、ご自身での確認のためのご利用でしょうか?」と確認しています。SNSなどにアップしないことも確認します。

 1年に1回程度、病状説明での録音の許可を求められることはありますが、現時点では悪用やこちらに不利になるような行動をされたことはなく、純粋に聞き返したいためだったのだな、ということが多いです。

 ちなみに揉めそうな症例、家族の場合、患者側が録音する際はこちらも録音させていただくように考えていますが、そこまでいったケースは過去に1件のみで、その後も何もありませんでした【神経内科】

「録音はやめてほしい」と率直にお願いする理由
 基本的に「説明時の録音はやめてほしい」と率直にお願いしています。音声のみでなく、表情、ジェスチャーなど、全てを合わせての診察、説明である旨をご説明し、そのかわりに説明内容を文面で提示して、お互いに納得ができるようにしています。

 音声のみでは伝わりきらない内容もあり、診察は、その後の話し合い、納得、同意まで全ての時間軸が含められるべきであると考えています。音声のみで、一部分のみを故意に拾い上げられて、後にトラブルに発生する可能性もあり得るかもしれません。そうなると、こちらもそれに対応できるように録音しておかなくてはならなくなります【呼吸器内科】

録音をきっかけに信頼関係が深まった例
 50代男性患者が診察開始直後に、無言でスマホを取り出し、録音を始めようとした。そのため、「録音されるのは構いませんが、何かご不安なことがあってのことですか?」とたずねると、その患者は「前の病院では説明が不十分に感じて……。ちゃんと記録しておきたい」と本音を吐露した。

 私は「それなら、最初に録音の許可をいただけると助かります。こちらも丁寧にご説明しますので、どうぞ録音して大丈夫ですよ」と返答。説明後、患者は「今回の医師はちゃんと向き合ってくれた」と話し、次回の診察も前向きな姿勢で来院。録音をきっかけに信頼関係が深まった例となりました【皮膚科】

録音に頼らない丁寧なコミュニケーションの重要性を実感
 「お気持ちはよく分かりますが、申し訳ございませんが録音はご遠慮いただいております。代わりに、重要なポイントについてはメモを取っていただいても構いませんし、説明の途中で分からないことがあれば遠慮なくお聞きください。また、ご家族の方がいらっしゃる場合は、一緒に説明をお聞きいただくことも可能です」と答えます。

 以前、患者さんから録音の申し出を受けた際、丁寧にお断りした経験があります。その際、「詳しく説明いたしますので、重要な点はメモを取っていただけますか」と提案したところ、患者さんも納得してくださいました。その後の診療では、説明をより分かりやすく区切って行い、患者さんがメモを取る時間を十分に設けました。結果として、患者さんからは「かえって集中して話を聞くことができた」「要点が整理されて理解しやすかった」と好評をいただきました。録音に頼らない丁寧なコミュニケーションの重要性を実感した事例でした【小児科】

そもそも録音の許可を取るケースは稀
 そもそも録音していいですかと聞いてくださるケースは稀で、録音を勝手にしているケースの方が圧倒的に多い。

 明らかに携帯を不審な様子でいじっていたり、録音ボタンを押したりするのが見えた際には、「皆様にお願いしていることですが……」と前置きをして、録音は控えていただいていることを説明している。特にそれで揉めたことはないが、気付いていないだけで録音されているケースはもっとあるのだろうと思う【膠原病科】

「勇気づけられたいから」と録音依頼
 質問の趣旨とは異なるのですが、自閉スペクトラム症の患者さんに、「先生の言葉を後で繰り返し聞いて勇気づけられたいから」と、患者への支持的メッセージを録音させられたことがあります【精神科】

さぁ、あなたはどう考えますか?

対象:m3.com医師会員
回答者総数:1444人 のアンケートによる。

LAB
情報室
PAGE TOP